昨年から積極的に送られてくるようになった、国外財産調書に関するお尋ねレター(督促状)だが、今年も昨年の年末海外資産残高が5000万円を超えているにも関わらず国外財産調書を税務署に提出していない人のところに調書に関するお尋ねレターが届いているようだ。
CRS(共通報告基準)の徹底によって、海外の資産に関する情報は税務当局には把握されている。
たとえ、マイナンバーなどタックスID(納税者番号)を海外の金融機関に報告してなくても、住所やパスポートなどの情報から金融機関の判断で租税課税国だと思われる国に年末残高の情報は報告されているようだ。
例えば、HSBC香港の銀行口座をもっている人の登録住所が日本で、日本のパスポートの情報しかなければ間違いなく課税居住国は日本であると認定され、日本の税務当局に情報は補足されている筈だ。
いま送られている「国外財産調書に関する督促状」は、税務署が把握している昨年の年末時点での円建ての海外資産総額が5000万円を超えていた場合には対処する必要がある。
昨年末の為替レートは1USドル=115円だったようなので、USドルで434,783ドル以上の現金及び金融商品の年末残高があるにも関わらず国外財産調書を出していない場合には、調書の提出は避けられない。
逆に、年末残高がそれ以下であった場合には、その旨を報告することによって国外財産調書の提出は回避できる。
問題は、昨年末の残高が400,000ドルくらいかそれ以下であれば今回の提出は回避できるが、そのまま放置していた場合、今年の年末は為替レートが1USドル=145円を超えている可能性が高く、340,000ドル以上の海外資産がある場合には5,000万円を超えてしまい、来年の国財財産調書の提出は避けがたいということになる。
特にフレンズプロビデントやRL360、スタンダードライフ、ITAといった海外の積立ファンド(オフショア積立)やサンライフ香港の保険商品、及びHSBC香港など海外の銀行口座にある現金、海外の証券口座で保有する株式やファンドなど、時価総額もしくは解約返戻額ベースで合算した金額が340,000ドル以上あると思われる場合には、年内に何らかの手を打っておいた方が良いだろう。
すぐに打てる手立てとしては、Sun Life Hong Kong(サンライフ香港)のドル建て生命保険や養老年金商品に転換をして、解約返戻額ベースでは価値を圧縮するくらいしかないように思う。
特に、今年の新商品であるStellar(ステラ)は、契約後数年間の資産圧縮率が高く活用しやすい。
国外財産調書は出したからといって、即課税が有るわけではないがいちどフラグが立って記録されると、先々に渡って利益確定時に発生する課税について突かれ続けることになりかねない。
税務署から「国外財産調書に関するお尋ね」をもらっているひとで、今年の海外資産年末残高がキワドイと思われる人は、国際税務に詳しい税理士もしくはIFAのアドバイザーに相談することをお勧めする。