映象集団(ICGL)がM&Aにより資産規模を十倍の4兆円にしようとしている相手の企業は、四川省の积灿国际控股(JICAN INTERNATIONAL)という林俊積(James Lin)氏の会社で、現状NYのOTCマーケットでUS13ドルのICGL株をUS2ドルで購入することが可能な相手は积灿国际控股(JICAN INTERNATIONAL)香港のCEOであるJimmy ChanことChan Chi Manである。
今回我々が訪問したのは、积灿国际控股(JICAN INTERNATIONAL)のグループ下にある湖北省孝感市の『湖北大自在生态科技有限公司』である。
この『湖北大自在生态科技有限公司』では、林氏の保有するハイブリッド紅豆杉からタキソール(パクリタキセル)を抽出する工場ラインが将来的には4本建設される予定であり、現在はそのうち1ラインが完成している。
1ラインの建設コストはおよそ700万人民元=約1億2,000万円。
そのラインで製造が可能なタキソール(パクリタキセル)は年間90キロ。
1キロのパクリタキセル原料の価格は200万元=約3,500万円なので、90キロのパクリタキセルは1億8,000万元=約30億円といったところだ。
『湖北大自在生态科技有限公司』では3年間にわたって毎年1ラインの増設が計画されているが、紅豆杉原木の材料供給状況によってはもっと速いピッチでのライン増設が必要になるかもしれない。
もしそうなると、さらにライン増設のための資金が必要となる。
林氏のプランは、バイオテクノロジーによるハイブリッド紅豆杉こう配やパクリタキセル抽出技術に関して多大なバックアップのある湖北省での工場建設とハイブリッド紅豆杉の新規栽培を勧めつつ、自社の畑がある四川省において新たなパクリタキセル抽出工場を建設し、同じく四川省の製薬OEMメーカーのとの協力により、四川省をパクリタキセルがん治療薬生産の拠点化するところにあるようだ。
四川省にある製薬OEMメーカーに関しては次回お話しすることにしよう。
この写真にあるのが、湖北省の工場にあったハイブリッド紅豆杉のマザーツリーのひとつである。
このハイブリッド紅豆杉は、株分けしたものの植樹によってのみ量産が可能であり、現存する全ての蔓地亜紅豆杉と命名されたハイブリッド紅豆杉は、このマザーツリーからの株分けによって育てられたものだそうだ。
工場の建設と並行して林氏が進めているプロジェクトは、このハイブリッド紅豆杉を政府の協力を得て如何に多く栽培するかという、材料の安定供給を確保する課題だ。
林氏は、自ら会長を務める「紅豆杉協会」を設立しており、既に300名の個人及び法人の会員がいると聞く。
会員になるには入会金が必要だが、会員になると蔓地亜紅豆杉の株分けが与えられ、3年以上育成したものの葉を林氏の工場が買い取るシステムになっている。
湖北省のように農業が主体の地域では、野菜や果物を育てるより、同じ土地でより高く売れる紅豆杉を育てた方が金になる。
よって、地元の政府や共産党のリーダーもこのプロジェクトには深い関心を示しており、農家において既存の畑を転用したときに3年間の初期育成期間中は収益が得られないという問題に関して、政府が補助を検討しているようだった。
ちょうど我々が湖北省孝感市を訪問しているときに、孝感市の科技局と関係する各法人間での提携調印式が行われており、成り行き上そこに立ち会うこととなった。
孝感市は林氏の紅豆杉協会の一員として紅豆杉の育成プロジェクトに全面協力しようとしている。
また、湖北省工程学院(Hubei Engineering University)もこの紅豆杉プロジェクトには深く関わっているようだ。
工場のある孝感市のみならず、湖北省のNo.2も関心を示しており、
2016年11月24日午前に,郭生练副省长,省科技厅副厅长彭泉,省政府办公厅处长林竹青,在孝感副市长仇平贵,市科技局局长蔡秀云,など大物ご一行様が湖北大自在生态科技有限公司を視察しに来ていた。
こうした動きを僅か2日間の間に見ただけでも、林氏が展開しようとしている紅豆杉のビジネスが持つポテンシャルの高さを感じずにはおれない。
果たして、林氏のハイブリッド紅豆杉から抽出される天然のパクリタキセルによって、どれくらいのがん患者がこの先救われるのか?
半合成によるパクリタキセルの製造が可能となっている現在においても、それを原料とするがん治療薬の供給は、中国のみならず世界の需要を満たしてはいない。
それがどういう意味を持つのかはまだわからないが、林氏のチャレンジと、中国が国を挙げてこのプロジェクトを推進しようとする現実を目の当たりにすると、日本では起こりえない技術的革新やその普及が、想像を絶するスピードで起こる可能性は高いだろう。
国家として必要なインフラやテクノロジー、そこから派生するビジネスに対して金を惜しまない中国という国家の凄さを感じざるを得ない。